
- 同じように見えるけど、なぜ価格が違うの?
- 安いメガネの品質は?なぜ安いの?
- 高いメガネの理由は?
素材や製造方法が進化したことで、メガネが安く作れるようになりました。5,000円のメガネは、「快適さ」と「耐久性」を兼ね備えていて、品質は悪くありません。
ですが、高いメガネと安いメガネにはたくさんの違いがあります。
この記事では、メガネ本体にフォーカスして高いメガネと安いメガネの違いを徹底解説します。あわせて、メガネの品質の見極め方をご紹介します。
ただ、メガネの値段はメガネフレームの品質だけで決まるわけではありません。検眼やフィッティングの技術やかける時間も価格に影響します。メガネの価格の決まり方に関しては次の記事で解説しています。
高いメガネと安いメガネの違い

同じ素材で同じようなデザインのメガネに大きな価格差があるとき、「なぜこんなに価格が違うの?」と疑問に思うかもしれません。
安いメガネには安い理由があります。
- 素材や製造方法が進化して大量生産が可能になった(製造コスト↓)
- 人件費の安い中国で作っている(人件費↓)
- 中国製の材料を使っている(材料費↓)
- 製造工程を省いている(製造コスト↓)
- 大量生産している(製造コスト↓)
- 共通パーツを他の商品でも使っている(製造コスト↓)
- 中間業者を排して、工場に直接発注している(コスト↓)
これらによって低価格化を実現しています。それぞれ少し詳しく解説します。
製造方法の違い
安いメガネは、プラスチックの材料を熱で溶かして、金型に注入して成形して製造します。大量生産に向いている製造方法で、短期間に何万本も製造できます。
TR-90やウルテムのメガネは成形物で、掛け心地が良く丈夫なメガネに適しています。
- TR-90の代表的なフレームはJINSのエアフレーム
- ウルテムの代表的なフレームは眼鏡市場のフリーフィット
製造国の違い
人件費の安い中国で作ったほうが安くできます。
日本の人件費と比べれば、まだまだ安いです。大量生産の安いメガネは中国の内陸の田舎で作ります。働いている人はもっと田舎から出稼ぎにきている人たちなので、人件費は安いです。
材料や部品の違い
同じチタンのメガネを作るにしても、日本製のチタンを使うのか、中国製のチタンを使うのかで原材料費が変わります。
部品の製造国も重要です。中国の蝶番やネジなどのパーツは安いですが、加工精度が低いです。
0.01mm単位の精度が求めらる小さなメガネパーツを誤差なく作る日本の技術力は健在です。
製造工程数の違い
工程を省略すれば、安く仕上げられます。メガネを作るにはたくさんの工程があります。検査や磨き、メッキ前の洗浄など工程を減らせば、安くできます。
日本製のアセテートのメガネは最低でも2万円ほど。一方、中国製のものは5,000円ほど。資金力のある中国の工場が機械化されていて効率的に製造していることもありますが、どれほど手間をかけているかによって価格は大きく変わります。
チタンのプレス加工の違い
日本では冷えたチタンをいくつもの金型で何度もプレスして狙った形に仕上げていきます。
一方、中国では、チタンを熱して柔らかくしてから金型でプレスします。少ない金型で一気に変形させれば、安くできます。金型代がかからないためです。
安くなる代わりに、熱をかけるので、素材が弱くなって壊れやすくなります。

同じデザインでも、工程を省けば安くできます。見た目は同じでも、品質は違います。
生産本数の違い
メガネを作るには金型が必要です。大量生産することで、1本あたりの金型代が薄まり、安くなります。
金型代が1万円で1本しか作らないと、商品原価に金型代1万円が載ります。1万円以上で売らないと利益が出ません。
一方、1万本作れば1本あたりに載る金型代が1円になり、安く販売できます。
オリジナリティーの違い
同じパーツを他の商品に使い回せば、安くなります。オリジナルパーツは、金型から起こす必要があるのでお金がかかります。
デメリットとして、店頭で商品を並べた時に、「同じような商品ばかり」で面白みに欠けます。
流通経路の違い
中国に工場を持つ日本メーカーを通さず、直接中国工場に発注することで、中間マージンがなくなります。

商品が商社やメーカーを経由しないので、物流コストも下がります。
直接やりとりすることで、安く作れると同時に、品質も管理できます。
安いメガネと高いメガネの見分け方

メガネを買うのは数年に一度。見慣れていないメガネの良し悪しを見分けるのは難しいです。
細かい点を挙げるとキリがなくなるので、基本的な品質チェック項目をご紹介します。
- 正面から見て、各パーツは左右対称か
- 平らなテーブルににおいてガタつかないか
- 横から見て、パーツ同士に段差や隙間がないか
- 2色メッキを使っている場合、境目は綺麗か
- テンプルの開閉はスムーズか
- 飾りやパーツのぐらつきはないか
- 突起やエッジの立ちすぎの部分はないか
- 全体的に細すぎないか
これらは眼鏡業界の共通スタンダードとして採用される、メガネが最低限クリアすべき品質基準です。

チェックしてから購入することで、購入後のトラブルも少なります。
各項目ごとに詳しく解説します。
面から見て、各パーツは左右対称か

リム(レンズを囲う枠)の形が左右違ったり、その他のパーツの位置が平行でないと、左右の均整がとれません。

安いメガネは、左右でズレていることがあります。
平らなテーブルににおいてガタつくか

逆さに向けた状態でガタつくようであれば、フレームが歪んでいます。
フィッティング調整したあとは、ガタついて問題ありません。なぜかというと、人によって左右の耳の高さが微妙に違うことがあり、店員さんがメガネが真っすぐ掛かるように曲げて調整するためです。
横から見て、パーツ同士に段差や隙間がないか

ピタッと合うように設計された商品なのに、境目に段差や隙間があると、デザイン的に美しくありません。

隙間や段差に髪の毛が引っかかったりして、鬱陶しいことも。
2色メッキを使っている場合、境目は綺麗か

メッキが綺麗だと高級感がでます。ムラがあったり塗膜の下の異物が混入していて凸凹しているとブサイクです。
塗料の垂れが原因のつららのような突起には、特に注意しないといけません。
目で見て分かるような塗装ハゲは、使っているとドンドン剥げてくるのでアウトです。
テンプル(つる)の開閉はスムーズか

テンプルの開く角度は90度より少し開いているくらいが良いです。お顔に沿うように内側に少し曲がっている形状がフィットします。
開け閉めのときに引っ掛かりがあったり、ガシガシしたり、パタパタしていないものを選びましょう。パーツの精度が高い日本製のメガネは滑らかに開閉します。
先セル(耳掛けの部分)が安定していて動かないかどうかも確認したほうがいいです。簡単にすぽすぽ抜けるようだと、掛け外しのたびに動いてしまい、メガネの位置が定まりません。
飾りやパーツのぐらつきはないか

両方のリム(レンズを囲う枠)を持って少し動かしてみて、グラつくようだと破損リスクは高いです。
ネジで留めてある飾りや装飾を触ってグラグラしていなかもチェックポイント。
メガネのデザインが全体的に細すぎないか
さいごに、デザインが細すぎないかどうか、これが重要です。
デザインが優れていてもすぐに壊れるようでは、結果的に購入した人に嫌な思いをさせてしまいます。それにリムが切れたりテンプルが折れたりすると、ケガをしたり、事故の原因になります。
おしゃれアイテムとしてのメガネでも、耐久性は求められます。
本当だったら、もっと細く作ってスタイリッシュにしたいけど、あえてそれをしません。メガネは目の代わりであり、顔の一部。だから、簡単に壊れるようなものは作りたくない、と考えています。
目に刺さると危なそうなエッジがないかも確認しておきたいポイント。
安いメガネは大丈夫?
「安いメガネ=低品質」というわけではありません。5,000円程度のメガネの品質は全く問題ありません。
ただ、安いメガネの中にはヒドイ商品もあります。
素材に混ぜ物を入れたり、一度作ったメガネを溶かして素材として再利用したり、そのへんに転がってい部品を使ったり、必要な工程を飛ばしたり、時短のために使ってはいけない薬品を使用したりするモラルの低い工場が存在します。
品質の低いメガネのせいで顔をケガをしたり、アレルギー反応が出たりするケースが結構あるのです。運転中にメガネが突然壊れて、事故になりそうになったという話を聞いたことがあります。
高いメガネには高い理由がある

鯖江のメガネや海外ブランドのメガネは高いです。
製造国・材料・製造過程・生産量・流通ルートが違うことに加えて、「こだわり」や「ブランド力」があると商品は高くなります。
高級メガネが高い理由は次のようなものです。
- 快適な掛け心地
- 耐久性が高い
- デザインが良い
- ブランド力がある
鯖江のメガネが高い理由

日本製のメガネが高い理由は次のようなものです。
- 世界一のチタン加工技術
- 世界トップクラスのメッキ処理
- 職人気質が生み出す高品質
- 日本人に合ったデザイン
基本的に、高いメガネは「掛け心地」や「耐久性」「デザイン性」を追求し、しっかりと作り込まれています。一個一個の作業の質にこだわり、丁寧な工程を積み重ねて、高品質なメガネが出来上がります。
掛け心地を良くするための独自構造のパーツを使うこともあります。メガネを長時間かける人であれば、「快適さのレベル」が違うことを実感できます。
日本のチタン加工技術は世界トップレベルです。また、職人気質の日本人が作る、手作業が多いアセテートやセルロイドのメガネには、工芸品のような美しさを感じます。
海外ブランドのメガネが高い理由

海外のブランドメガネが高い理由は次のようなものです。
- 知名度が高い
- 所有欲を満たしてくれる
- 有名人が掛けている
- おしゃれなイメージ
高いブランドメガネは、ブランド自体に価値があります。
メガネブランドでは「レイバン」や「オークリー」などが有名です。特にレイバンは「サングラス=レイバン」というくらいの圧倒的な知名度とおしゃれなイメージがあります。
ブランドのメガネはデザインがおしゃれなのはもちろんですが、ブランドが歩んできた歴史やブランドイメージなど魅力があり、「所有欲」を満たしてくれます。
芸能人が掛けていることもあり、ブランドのメガネを身に着けると、「特別な気分」になれます。
イタリア製のメガネが日本で売れない理由
イタリアは、世界中にメガネを輸出しています。海外では、イタリア製のメガネが高価格帯の市場を独占しています。
ですが、日本ではそれほどのシェアはありません。
イタリア製のメガネが日本で売れない理由は、3つあります。
- イタリア製メガネの品質があまり良くない
- 同価格帯の日本製メガネの品質が高い
- 日本人の顔にフィットしないデザイン
イタリア眼鏡協会(anfao)の2019年の統計データを確認すると、日本の輸入額は他の国に比べて少ないことがわかります。
国 | 輸入額(ユーロ) |
トルコ | 4,500万ユーロ |
メキシコ | 4,600万ユーロ |
ロシア | 3,300万ユーロ |
日本 | 1,700万ユーロ |
日本への輸出額は全体のたった0.9%で、日本より経済規模の小さい国のほうが、たくさん輸入しています。
5枚蝶番、7枚蝶番のメガネは高いメガネ?

「7枚蝶番だから頑丈=高いメガネ」とよく言われます。

実は、蝶番のコマの枚数と品質や値段は関係がありません。
テンプルの太さによって蝶番の枚数を変えているだけです。
- 細いフレームには3枚蝶番
- 太いフレームには5枚蝶番や7枚蝶番
強度が高すぎると危ないです。太いテンプルを留めるために、1枚が分厚い3枚蝶番を使うとどうなるか。強度がありすぎて、メガネに衝撃が加わったときに全く曲がらず、顔をケガしてしまう恐れがあります。
薄いコマを7枚にすることで、強度が弱くなり、力が加わっても蝶番が曲がってくれます。壊れることで力を逃がして、顔を守ります。

つまり、ちゃんと壊れるために、7枚蝶番を使っています。決して頑丈にするためではありません。
まとめ
今回は、高いメガネと安いメガネの違いについて解説しました。
安いメガネがダメなわけではありません。JINSの5,500円のエアフレームは十分な品質を備えています。
ですが、高いメガネと比べると、「デザイン性、品質、掛け心地、ブランド力」などの点で違いがあります。
顔に直接つける、目の悪い人にとっては目の代わりになるメガネには、安全性と耐久性が必要だと思います。日本のメガネの品質は高いので、安心して使えます。
オススメの安い眼鏡屋を次の記事で紹介しているので、よかったらご覧ください。
