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高いレンズと安いレンズの違いを解説【球面レンズと非球面レンズの違い】

  • レンズの価格差は何で決まるの?
  • 球面、非球面、両面非球面のちがいが知りたい
  • 店員さんは非球面レンズを勧めてくるけど、デメリットはないの?
  • 両面非球面レンズに変えたけど、効果が実感できない….

メガネのレンズにはたくさんの種類があり、価格もピンキリとなっているため、初めてメガネを作る時はお店で驚く方も多いのではないでしょうか?

何度もメガネを作ったことがある方でもレンズの違いを理解している人は少ないと思います。

購入後に後悔しないためにレンズについてある程度知っておくことが重要です。

そこで今回は高いレンズと安いレンズの違いについて解説します。この記事を読めば、店員さんと相談しながら自分に最適なレンズを選べるようになります。

目次

高いレンズと安いレンズの違い

レンズの価格の違いを決めるポイントは大きく分けると3つあります。

レンズの素材によって決まる『屈折率』と、レンズの形状を表す『レンズ設計』、そしてレンズメーカーやレンズの種類によって変わる『製作範囲』です。

この3つの組み合わせでレンズのグレードが決まります。

少しむずかしい言葉もあると思いますが一つ一つ説明していきますのでご安心ください。

屈折率

価格を決める一番大きな要素は『屈折率』です。

屈折率とは光がレンズを通った時に曲がる度合いのことで、1.56、1.60、1.67、1.74のように数字で表されます。

メガネ屋さんでは異なる屈折率を持つレンズを次のように区別しています。

  • 標準レンズ(屈折率1.56)
  • 薄型レンズ(屈折率1.60)
  • 超薄型レンズ(屈折率1.67)
  • 最薄レンズ(屈折率1.74)

標準→薄型→超薄型→最薄型の順に価格が上がっていきます。

ただ、「価格が高い」=「良いレンズ」=「最薄型が一番良いレンズ」ではないのでご注意ください。

各レンズを項目別に比較すると次のようになります。

価格(高い)最薄型→超薄型→薄型→標準(安い)
厚み(厚い)標準→薄型→超薄型→最薄型(薄い)
重さ(重い)最薄型→超薄型→薄型→標準(軽い)
鮮明度(低い)最薄型→超薄型→薄型→標準(高い)

名前のとおり、最薄型レンズがいちばん薄く仕上がりますが、価格・重さ・鮮明度の点で他のレンズに劣ります。

基本的にレンズは薄くすればするほど鮮明度や重さを犠牲にしてしまうということです。

しかも、度数が弱い場合は標準レンズで作っても最薄型レンズで作っても厚みはほとんど変わりません。

つまり、度数が弱い人が最薄型レンズを使ってしまうと、価格が高いうえに鮮明度が低く重たいメガネが出来上がってしまいます。

最適なレンズをえらぶためには、レンズの厚み、鮮明度、重さのバランスが非常に重要になってきます。

レンズ設計

2つ目はレンズ設計です。

レンズの形状には大きく分けると、

  • 球面レンズ
  • 非球面レンズ
  • 両面非球面レンズ

の3種類があります。

球面レンズとはレンズの表裏の両面が球面、つまりカーブが強いレンズです。いちばん昔からあります。

一方、非球面レンズとは比較的カーブが少なく平面に近い形状をしています。

もしメガネ屋で「非球面レンズ」とだけ言われたら外面非球面レンズを指していることが多いです。

両面非球面レンズはレンズの表裏両面が平面に近い設計のレンズとなっており、この3つの中で最も高価なレンズとなります。

球面レンズと非球面レンズの価格や性能の違いはのちほど説明します。

製作範囲

3つ目は製作範囲です。

どんな業界でもそうですが、需要が多いものは在庫が多く置いてあり価格も安くなります。

メガネレンズ業界も同じです。人それぞれメガネの度数はちがいますが、よく出る度数とあまり出ない度数があります。

どのメーカーでもレンズそれぞれに在庫範囲があり、在庫範囲を超えてしまうと特注製作が必要です。

特注の場合、お客さんの度数情報をもとにレンズを製造するので、価格が上がったり出来上がりまで時間がかかったりします。

度数の強い人はレンズが高くなることがあります。

球面レンズと非球面レンズはどちらがいいの?

さきほど簡単に説明した球面レンズと非球面レンズに関してもう少しくわしく説明します。

両レンズを項目別に比較すると次のようになります。

価格(高い) 非球面レンズ→球面レンズ (安い)
厚み(厚い) 球面レンズ→非球面レンズ (薄い)
歪み(強い) 球面レンズ→非球面レンズ (弱い)

基本的には非球面レンズのほうがメリットが多く、現在メガネ屋で販売されているほどんどのレンズは非球面レンズです。

メガネのレンズは中心から離れるほど歪みが強く、さらに度数が強くなるほど歪みも強くなるという特徴があります。

非球面レンズにすることで球面レンズよりも歪みを軽減することができるのです。

そのため、強度の近視の方や乱視が入っている方には非球面レンズがオススメです。

非球面レンズのデメリットは?

非球面レンズの良いところを説明しましたが、非球面レンズのデメリットはないのでしょうか?

あまり多くはありませんが、非球面レンズをおすすめしないケースもあります。

薄型レンズのデメリットはつぎの3つです。

  • カーブが強いフレームと相性が良くない
  • 今まで球面レンズを使っている人は違和感を感じることがある
  • 価格が高い

カーブが強いフレームと相性が良くない

まずはカーブが強いフレームは薄型レンズと相性が良くありません。

サングラスメーカーや海外ブランドのフレームやスポーツタイプのフレームは顔に沿うような形状をしていることがあります。

カーブしたフレームに非球面レンズを使用すると、フレーム自体がまっすぐになります。

仕上がりがカッコ悪くなるだけでなく、平らなレンズを無理やり入れることで周辺部の歪みが発生することも。

今まで球面レンズを使っている人は違和感を感じることがある

次に今まで球面レンズを使用している人にもオススメしないことがあります。

球面レンズの見え方に慣れていると、脳が周辺部の歪みをある程度補正して認識するようになります。非球面レンズに変え、急に歪みが軽減することで逆に不快に感じたり気持ちが悪くなることがあります。

時間をかければ慣れることは可能です。

また、同じ度数で球面レンズと非球面レンズを作った場合、非球面レンズのほうが歪みが少ないため度数が弱く感じるという方もいらっしゃいます。

価格が高い

最後は価格です。

単純にレンズだけの価格で比較した場合、非球面レンズは球面レンズと比較して高くなります。

使用環境や用途によってはできるだけコストを抑えてメガネを作りたいというニーズはあります。

最近では能登半島地震を受けて、ネット通販で予備の度付きメガネを作る人が増えているようです。

両面非球面と非球面は変わらない?

今度は同じ非球面レンズの中でも外面・内面・両面について比較してみます。

価格(高い)両面→内面→外面(安い)
厚み(厚い)外面→内面→両面(薄い)
歪み(強い)外面→内面→両面(弱い)

注意していただきたいのは度数が弱い人にとっては両面非球面と外面非球面で見え方も厚みもほとんど変わらないということです。

高いレンズを販売するために度数が弱い人にも両面非球面をすすめる店員さんもいますが、見え方について外面非球面と両面非球面でちがいを感じるのは強度近視や強度乱視の方のみ。

具体的な度数で言うと近視ならS-5.00~-6.00Dくらいで、視力で言うとざっくり視力0.1以下です。乱視ならC-2.00Dくらいから性能のちがいを感じると言われています。

レンズを極力薄くしたい場合に両面非球面レンズをえらぶのはアリですが、目で見て厚みのちがいがわかるのはS-6.00Dくらいからです。

また、普段コンタクトレンズを使用している人には両面非球面レンズはオススメです。コンタクトレンズは目とレンズの距離がほぼゼロなので歪みがほとんどありません。

そのためメガネを掛けると、周辺部の歪みのために壁や柱が曲がって見えるという人がいます。

とくに強度近視でコンタクトレンズを使用している方には、歪みの少ない両面非球面のメリットが最大限活かされます。

まとめ

今回は高いレンスと安いレンズのちがいについて解説しました。

レンズの価格を決める要素には

  • 屈折率(屈折率が高くなるにつれて、価格が高くなる)
  • レンズ設計(球面→非球面→両面非球面の順に価格が上がる)
  • 製作範囲(特注製作レンズの場合、価格が高くなる)

の3つがあります。

レンズは高ければ良いというわけではなく、自分の度数や用途に応じて店員さんと相談しながら最適なレンズをえらぶことが重要です。

レンズを選ぶポイントは今回説明した項目以外にも、ひとり一人に合わせたインディビジュアル設計(製造工程)やフレームの形状(レンズの強度)、左右の目の距離(レンズ径)など細かく言えばまだまだあります。

ただ、大事なことは高いレンズが最適なレンズとは限らないということです。

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