
メガネの見た目と掛け心地に大きく影響するメガネの素材。店頭に並ぶメガネを掛けて、「掛け心地が悪い」と感じる場合、素材が関係していることがあります。
素材の特性を知って、メガネ選びの基準に「素材」を加えると、自分が欲しいと思っている満足の1本に出会えるはずです。
この記事では、「メガネ素材の種類と特徴」、「それぞれの素材のメガネの相場価格」について解説します。

メガネの素材の種類

メガネに採用されている素材はたくさんあります。
どの素材も軽さ・弾力性・耐久性・安全性などの条件は満たしていますが、それぞれメリットとデメリットがあります。
大きく分けると、メガネ素材の種類はプラスチック素材とメタル素材の2つあります。
プラスチック素材の種類と特徴
プラスチックのメガネは、1万円以下の価格帯では、メタルフレームより軽くて掛け心地が良いものが多いです。

お手頃価格で、カラフルで柄が可愛かったり、遊び心溢れるデザイン性の高いフレームが手に入るのが魅力です。
プラスチックの代表的な素材は4つあります。
- アセテート
- セルロイド
- TR-90
- ウルテム、PPSU、リルサンなどの高機能樹脂
プラスチックフレーム共通のメリットは次のようになります。
- 値段が安い
- カラーバリエーションが多い
- 柄やプリントが可愛い
- フレームの形やデザインが多彩
メタル素材のメガネの種類と特徴
メタフフレームは、価格による性能の差が大きく、素材やパーツのデザインによって「掛け心地」や「軽さ」が大きく変わります。

値段が2万円を超えてくると、プラスチックフレームより掛け心地が良いものが多くなります。
メタルの代表的な素材は5つあります。
- チタン(純チタン)
- βチタン
- NT合金(形状記憶合金)
- ニッケル合金
- ステンレス
メタルフレームに共通するメリットは次のようになります。
- 素材が強いので、細いデザインが可能
- メタル特有の上質感
- 丈夫で壊れにくい
素材の特徴と素材別のメガネの相場価格

素材の特徴と素材の違いによるメガネの相場価格をご紹介します。

掛け心地・耐久性・価格は、メガネのデザインによって変わるので、ここで紹介する内容はあくまで参考程度に留めてくださいね。
メガネ素材の特徴の早見表
弾力性 | 軽さ | 耐久性 | |
アセテート | |||
TR-90 | |||
ウルテム | |||
チタン | |||
ベータチタン | |||
ニッケル合金 | |||
ステンレス |
素材・製造国別のメガネの相場価格
素材・製造国別の「相場価格」と「コスパが悪く、高い」と感じる価格を表にまとめました。
素材&製造国 | 相場 | 高い |
中国製 | TR-906,000~1万円 | 1万円~ |
中国・韓国製 | ウルテム1万5千~2万円 | 2万円~ |
日本製 | チタン2万円~3万円 | |
中国製 | チタン1万5千~2万円 | 2万円~ |
日本製 | βチタン2万円~3万円 | |
中国製 | βチタン1万5千~2万円 | 2万円~ |
中国製 | ニッケル合金8,000~1万5千円 | 1万5千円~ |
中国製 | ステンレス5,000~1万5千円 | 1万5千円~ |
アセテートのメガネの特徴
石油からではなく、綿花から作られるプラスチック。高級プラスチックフレームの代表的な素材です。
TR素材と見分けがつきにくいですが、重くて上質な感じがしたらアセテートです。プラスチック素材で、テンプル(つる)の付け根から先端まで長い金属芯が入っていれば、ほぼほぼアセテート。セルロイドのこともあります。

アセテートのメガネのメリットとデメリット
アセテートのメガネのメリットは以下のようなものです。
- 丁寧に作られた商品は、高級感ある質感が特徴
- 色や柄が豊富
- 壊れにくく、頑丈でトラブルが少ない
- 温めると曲がるので、微調整できる
- 傷ついたり、破損しても修理できる
日本製のアセテートのメガネは工芸品のように美しく、パッと見ただけで高いメガネだとわかります。ハンドメイドで作られるので、手間をかけた分だけ仕上がりは綺麗になります。温めると、曲げられるので、お顔に合わせた微調整が可能です。
アセテートのメガネのデメリットは以下のようなものです。
- TRやウルテムより、デザインが太い
- 素材自体が重たく、「ズシリ」と重みを感じる
- 弾力性(バネ性)がないので、「ガツン」とした掛け心地
- 吸水性があり、汗や皮脂で化学反応を起こして劣化する
- 油分が抜けていき、素材が縮んだり、変形する
弾力性がなく、重いので、「ガッチリ」とした掛け心地です。高密度の圧縮アセテートがあり、細身のデザインが可能になりましたが、TR90やウルテムと比べると、重いです。
セルロイドのメガネの特徴
アセテートと同じ植物性プラスチック。燃えやすく、加工しにくいことから、アセテートに取って代わられて、今ではほとんど見ません。
細かく見ると違いはありますが、質感と掛け心地は、アセテートとほとんど同じです。
セルロイドのメガネのメリット&デメリット
色味というか、ツヤ感が独特です。素材内部からしみ出るような光沢を放ちます。
セルロイドのメガネのメリットとデメリットは以下のようなものです。
- アセテートとは一味違う独特のツヤ感
- 一流ブランドのメガネに採用されていて、高級なイメージ
- 温めると曲がるので、微調整できる
- 傷ついたり、破損しても修理できる
- TRやウルテムに比べて、デザインが太い
- 素材自体が重たい
- 弾力性(バネ性)がないので、ガツンとした掛け心地
- 吸水性があり、汗や皮脂で化学反応を起こして劣化しやすい
TR90のメガネの特徴
ポリアミド系樹脂の中の一種で、TR-90は製品名です。
たくさんの機能を備えたエンジニアリングプラスチックの一種で、医療用のカテーテルや哺乳瓶にも使われる素材です。
TR90のメガネのメリットとデメリット
TR素材のメガネのメリットは以下のようなものです。
- 大量生産に向いていて、安くできる
- 軽いので、楽な掛け心地
- 弾力があり、柔らかい掛け心地
- カラーバリエーションが豊富
- 透明度が高く、クリア系の発色が綺麗
- プリントや柄のデザインが自由
- 劣化しにくく、寿命が長い
柔らかくて、軽いので、快適な掛け心地です。透明度が高く、テンプル(つる)の内側のプリントや柄が映えます。
TR90のメガネのデメリットは以下のようなものです。
- なんとも言えない安っぽい質感
- 塗装ハゲが起きやすい
- クリングスの抜けやグラツキの不良が多い
- 基本的に修理できない
- 温めても曲がらないので、細かい調整が難しい
最大のデメリットは、お顔に合わせた細かなフィッティングが難しいこと。
ULTEM(ウルテム)
ポリエーテルイミド系樹脂の一種で、ウルテムは商標です。
宇宙産業にも使われる高機能樹脂(スーパーエンンジニアリングプラスチック)。最近では、3Dプリンタのインジェクション素材として使われています。
ウルテムのメガネのメリットとデメリット
ウルテムのメガネのメリットは以下のようなものです。
- とても軽くて、ふわりとした掛け心地
- 弾力性があり、柔らかい掛け心地
- 豊富なカラーバリエーション
- 劣化しにくく、寿命が長い
装着感は、プラスチック素材の中でNo.1です。超軽量・超弾性・高耐久というメガネに必要な特徴を備えています。
ウルテムのメガネのデメリットは以下のようなものです。
- テンプル(つる)のデザインが直線的で、肌当たりが良くない
- 素材に塗料を練り込む場合、クリア系の発色が微妙
- 吹き付け塗装の場合、チープな質感
- 破損しやすい商品がある
- 基本的に修理不可
- 熱してもほとんど曲がらないので、細かい調整が難しい
素材自体の強度は高いのですが、商品によっては、すぐ壊れることがあります。テンプル(つる)が折れたり、リム(レンズを囲う枠)が切れたり、蝶番のネジ周辺部に亀裂が入ったりします。
PPSUとリルサンのメガネの特徴
ウルテムと同じような素材として、最近よく見るのが、PPSUとリルサンです。
PPSUのメガネの特徴
PPSU(ポリフェニルスルホン)はウルテムの上位互換のようなイメージです。
- ウルテムと同じくらい超軽量、超弾性
- ウルテムより粘りがあり、折れたり切れたりしにくい
- メタリック感ある特殊な剥がれにくい塗装が可能
眼鏡市場の「アイアスリート」で採用されている素材です。
リルサンのメガネの特徴
リルサンは、ウルテムとTR-90の中間の性能を持つ樹脂です。
- TR-90のような鮮やかな発色が特徴
- クリア系やなめらかな艶のあるカラーが綺麗
- ウルテムより粘りがあり、トラブルは少ない
- ウルテムほど弾力性はない
リルサンは、フランスのアルケマ社の商標。Zoffの「French Plastic」という表記の商品はたぶんリルサン。他のブランドやメーカーも採用している素材です。
チタンのメガネの特徴
世界に誇る鯖江の技術が体感できる日本製メガネの代表的な素材。海外ブランドもチタンのメガネを鯖江で作ることが多いです。
チタンのメガネのメリットとデメリット
チタンのメガネのメリットは以下のようなものです。
- 軽くて、ふわっとした掛け心地
- βチタンほどの柔らかさはなく、「カチッ」とした掛け心地
- 耐久性が高く、壊れにくい
- メッキの方法によっては、ニッケルフリー
軽くて、ステンレスより圧倒的にサビに強く、金属疲労が起こりにくく、金属アレルギーを引き起こしにくいです。
チタンのメガネのデメリットは特にありません。
形状記憶合金のメガネの特徴
ニッケルとチタンをを半々に混ぜた合金で「NT合金」や「形状記憶合金」と呼ばれます。力を加えても元に戻ろうとします。
主に、ブリッジやテンプルに使われる素材です。
形状記憶合金のメガネのメリットとデメリット
形状記憶合金のメガネのメリットとデメリットは以下のようなものです。
- 軽いので、ふわっとした掛け心地
- 柔らかく、抜群のフィット感
- チタンよりも丈夫で壊れにくい
- アレルギーを引き起こしやすいニッケルを含んでいる
- βチタンほど細くできない
- カラーバリエーションが少ない
βチタンのメガネの特徴
チタンにアルミニウム6%、バナジウム4%を混ぜたチタン合金。金属製フレームの中で一番掛け心地が良く、金属製フレームの欠点をすべて克服したメガネに最適な素材です。
βチタンのメガネのメリットとデメリット
βチタンにはメリットがたくさんありますが、これといったデメリットはありません。
- チタンより丈夫で、細くしても強度が高い
- フレームを超軽量に仕上げられる
- 抜群のバネ性でお顔を包み込む
- チタンよりも耐久性があり、壊れにくい
デメリットは、特にありません。
ニッケル合金のメガネの特徴
素材自体が安く、加工しやすく簡単に作れるので、格安メガネや海外のブランドメガネに使われる素材です。
単に「合金」としか表記されませんが、重さで分かります。チタンやステンレスより重たいです。
ニッケル合金のメリットとデメリット
ニッケル合金のメリットとデメリットは以下のようなものです。
- メタル素材の中で一番安い
- 頑丈で破損リスクが低い
- 塗装ハゲもほとんど起きない
- とにかく重い
- 弾力性がなく、ガチガチ
- ニッケルが含まれているので、かぶれやすい
最大の欠点は、汗の影響でニッケルが溶け出してしまうこと。お店によっては、ニッケル合金のテンプル(つる)にシリコンチューブを巻いて販売していることがあります。
ステンレスのメガネの特徴
鉄を主成分とした合金です。単に「合金」と表記されます。ニッケル合金の代わりにステンレスが使われるケースが多いです。
ステンレスの板から削り出すタイプはデザインが自由なので、海外ブランドが良く使っています。
ステンレスのメガネのメリットとデメリット
ステンレスのメガネのメリットとデメリットは以下のようなものです。
- ニッケル合金と同じくらい安い
- チタンほどではないですが、比較的軽い
- 耐食性が高く、錆びにくい
- カラーバリエーションが豊富
そこそこの弾力があり、掛け心地はそこまで悪くありません。
- 塗装が剥がれやすい
- 接合部分が外れやすい
- 安っぽい質感
- ニッケルを含んでいる
金属フレームの見栄えで一番重要なのは、表面処理の質感です。ステンレスはペンキで塗った感じになることがあり、安っぽく見えがちです。
まとめ

今回はメガネ素材の特徴とそれぞれの素材のメリットとデメリットを解説しました。
素材によって様々な特徴があるので、メガネの素材を意識すると、メガネの選び方が変わるかもしれません。
「こんな機能のメガネが欲しい」と思ったとき、素材の特徴を知っていると探している商品が見つかりやすいです。