
- アセテートとセルロイドのメリットとデメリットは?
- アセテートが白くなるのはなぜ?対処法は?寿命は?
- セルロイドとアセテートの違いが気になる
アセテートもセルロイドも肌触りが良く、アレルギーが少ないメガネに適した素材です。
日本で作っているプラスチック製メガネのほとんどが、この2つです。
この記事では、「熟練の技で工芸品のような美しさを放つアセテート」と「非効率でも、なぜか存在し続けるセルロイド」について解説しています。

メガネのアセテート素材の特徴

アセテートは、綿花やパルプが原料の植物由来の樹脂です。日本で作っているプラスチックフレームの大半はアセテートです。
アセテートのメガネのメリットとデメリットをまとめました。
アセテートのメガネのメリット

TR90やウルテムが台頭して、数は減りましたが、メガネ素材として採用され続けているアセテートにはたくさんの魅力があります。
圧倒的な上質感
発色が綺麗で豊かな色彩が魅力です。複雑な柄や立体的な柄、貼り合わせによる多層ラミネートなどデザインが多彩。
職人が削り出し、磨き上げたフレームはアクセサリーのような美しい色彩と艶を放ちます。鯖江の職人の技術に裏打ちされた確かな上質感があります。
5,000円のアセテートのフレームでもハンドメイドです。ハンドメイド自体に価値はありません。商品の良し悪しは、生地の品質や細部の仕上げによって決まります。
壊れにくい
テンプル(つる)が折れたり、リム(レンズを囲う枠)が切れたりしにくく、とても丈夫です。
埋め込まれた金属パーツや飾りが外れにくく、壊れにくいです。

調整、修理しやすい
60℃くらいの温度で曲げられるので、掛け心地の微調整がしやすいです。
表面の傷であれば、磨き直して新品の輝きを取り戻せますし、破損しても修理できます。
アセテートのメガネのデメリット
たくさんの生地メーカーがあり、一口にアセテート言ってもピンキリ。製造工程に手作業が多いので、職人の技術が問われます。
3万円のアセテートフレームより5,000円のTR素材のフレームのほうが、品質が高いことがあります。
重くて弾力性がない
リム(レンズを囲う枠)も最薄で2ミリくらい。これ以上薄くすると強度が保てません。どうしても太いデザインになります。
アセテート自体が重い素材なので、重いメガネが苦手な方や軽いフレームに慣れている人が掛けると、違和感があるかもしれません。
白くなる
いい生地でも、経年劣化していきます。汗や整髪料などが付着していると化学変化を起こして、劣化します。油分が抜けて、白い粉を吹きます。

内部まで劣化が進行していると、磨いても綺麗になりません。
寿命がある
使用環境や個人の皮脂や汗の性質にもよりますが、3年くらい使うと生地が乾燥してカサカサしてきます。

一般的に、アセテートフレームの寿命は2~3年と言われています。
劣化したフレームを曲げようとすると、割れることがあります。
お手入れが必要
こまめなお手入れが必要です。
使わないときは、フレームに付着した汗や整髪料などの汚れを落として保管すると、寿命が延びます。
セルロイドのメガネの特徴

セルロイドはべっ甲の代用として開発された植物由来のプラスチック。今は、ほとんど使われない素材です。
一部メーカーが、セルロイドの高級なメガネを作っています。代表的なブランドはAYUMI。職人の手によって細部まで徹底的にこだわっています。
セルロイドのメガネのメリットとデメリットをまとめました。
セルロイドのメガネのメリット
セルロイドにはアセテートと同じメリットが3つあります。
- フィッティングしやすい
- 修理しやすい
- 壊れにくい
アセテートと比較しながら、セルロイド特有の魅力を紹介します。
純粋なブラックが魅力
黒一色のメガネは単調な印象がありますが、セルロイドの黒縁メガネは、素材内部からしみ出るようなツヤ感が魅力です。

アセテートとセルロイドの黒縁メガネは、色味が違います。アセテートは青を暗くしたような黒に対して、セルロイドは純粋な黒です。
高級なイメージがある
一部メーカーがこだわりを持って、高品質なセルロイドのフレームを製造しているので、「セルロイド=高級なメガネ」というイメージが定着しています。

セルロイドは、ゴールドのように素材自体に価値はありません。職人が丹精込めて作る良いものだから価値があります。
細いデザインが可能で、変形しにくい
アセテートと比べて素材が硬いので、細いデザインが可能です。また、縮みにくく、変形しにくいというメリットがあります。
セルロイドのメガネのデメリット
セルロイドにはアセテートと共通するデリットが4つあります。
- 少し太めのデザイン
- 少し重い
- 弾力性がない
- 経年劣化しやすい
アセテートと同じように経年劣化します。セルロイドの眼鏡の寿命は、2~3年と言われています。アセテートより少しだけ弾力性があります。
メガネを掛ける人にとっては、アセテートよりセルロイドのほうが少しだけ優れています。
ですが、製造過程に現れるセルロイド特有の2つのデメリットによって、廃れてしまいました。
- 発火点が170℃と低く、発火性が高い
- 素材が硬く、加工しにくい

セルロイド特有のデメリットは、掛ける人にとっては、あまり関係ないものです。
燃えやすい
セルロイドが廃れてしまった一番の原因は、素材が燃えやすいからです。製造過程・保管・輸送の際に気を遣わないといけません。
素材が硬く、加工しにくい
素材が硬いと、削り、磨き、艶出しに時間がかかってしまい、製造効率が悪くなります。
セルロイドの代わりに、燃えにくいプラスチックとして開発されたのが、アセテートです。
まとめ

今回は、メガネのアセテート素材とセルロイド素材のメガネフレームについて解説しました。
どちらもメガネに適した素材ですが、メリットとデメリットがあります。
低品質な材料を用い、製造工程を省略して、腕の悪い職人が作ったセル枠は、デメリットばかりが際立つので、商品を細部までじっくり見てから購入することが重要です。
機械化が進んだ中国では、セル枠を効率的に安く大量に製造する工場があり、TR-90と同じくらいの原価でセル枠を製造できます。これまでは、セル枠は高いということにして、お店に高く卸していたので、販売価格が高く保たれていました。
ですが、JINSやZoffなどが激安で販売するようになり、価格が崩壊しました。安く作れることがバレちゃいました。
とはいえ、職人の手によって丹精込めて作られた本物のハンドメイド品は、本当に綺麗です。量産品とは質感が全く違います。