
- ウルテム素材のメガネの特徴は?
- 折れやすかったり、寿命が短かかったりしないか、耐久性が心配
- ウルテムのメガネが折れたという評判を聞くけど、実際のところどうなのか気になる
ULTEM(ウルテム)は商標で、ポリエーテルイミド系樹脂の一種です。
眼鏡市場の「フリーフィット」やZoffの「Zoffスマート」に採用されているビヨーンと曲がるあの素材。CMや店頭のPOPで折れそうなほど曲げていたりします。
柔らかい掛け心地であることは伝わってきますが、あんなに曲げて本当に大丈夫なのか心配になってしまいますよね。
今回は、ウルテム素材のメガネフレームのメリットとデメリットを解説します。あわせて、ウルテムのメガネが折れる原因についてお話します。
ウルテムのメガネは品質に差が出やすいです。適当なメーカーから仕入れているメガネ屋さんのウルテムのメガネは、すぐに壊れることがあります。トラブルに見舞われた人が多く、ウルテムのメガネは一時期ほどの人気はなくなりました。ちゃんとしたショップが販売しているものは耐久性が高く、劣化しにくいので長く使えます。


メガネのウルテム素材の特徴

ウルテムは、ペレット(粒状の樹脂)を溶かして型に注入してフレームを形作ります。この製造法をインジェクションと言います。

ウルテムは「スーパーエンジニアリングプラスチック」と呼ばれる高機能樹脂の一種で、宇宙産業でも使われる信頼できる素材です。
ウルテム素材のメガネのメリットとデメリットをまとめました。
ウルテムのメガネのメリット
ウルテムのメガネにはたくさんのメリットがあります。機能面ではメガネに最適な素材だと思います。
素材が硬く、丈夫なので細いデザインに仕上げられます。インジェクション成形なので、自由なデザインが可能です。
バネ性があり、とても軽く、ふわっとした掛け心地でお顔に優しくフィットします。
形状記憶の性質があり、フレームが変形しません。劣化しにくい素材のため、ウルテムのメガネの寿命は長いです。
ウルテムのメガネのデメリット
メリットの多いウルテム素材のメガネにもデメリットはあります。
素材自体が硬く、ウルテムのバネ性を生かすためにテンプル(つる)を板状にすることが多いです。板状のテンプルは肌当たりが良くありません。
素材そのものが黄色っぽいのでクリア系の発色は綺麗ではありません。
塗料を素材に練り込むタイプと塗装タイプがありますが、塗装タイプは安っぽい見た目になります。
ウルテム自体は耐薬品性が高いですが、塗装が弱ければハゲます。塗料が悪い場合、塗料が素材に染み込み、素材が劣化し強度が下がり最悪折れます。
アルコールにも強いと宣伝されていますが、練り込みタイプの場合でもトップコートを施すため、トップコートが弱いとコートがハゲます。

ウルテムのメガネの最大のデメリットは、不良品を作ってしまうメーカーが存在すること。
フレームの裏側に注入跡が残る

成型する機械によりますが、フロントの両端(左右のヨロイ)から注入することが多いです。金型にまんべんなく流れ込むようにするためです。
後ろからメガネを見ると、注入口が残ってしまいます。凹んでいるのはデザインとして美しくはないと思います。
ウルテムのメガネが折れる原因

ウルテムのメガネは、どのメガネ屋さんでも1万円以上します。決して安くはない商品なので、壊れたら嫌な気持ちになります。
テンプルがビヨーンビヨーンと曲がり弾性が高いのですが、素材に粘りがないので折れるときはあっさりとポキっと折れます。
ウルテムのメガネが折れる原因を解説していきます。
どの工場で作っているのかという問題
中国の工場で作るウルテムのメガネの品質安定性は高くありません。日本の品質基準を理解していない工場はたくさんあります。
どこの工場で作っているのか、これが重要です。
ヒドい工場がたくさんあり、次のような工場から買い付けると、商品のほとんどが不良というケースがあります。
- 他の材料を混ぜたり、成形後のウルテムを溶かして再利用したりする
- 塗装を剥がして再塗装したり、塗装している上に違う色を塗装する
- 厚みが均等にならなかったり気泡が混入してしまうボロい成型機を使ってる
デザインの設計不良やパーツの精度が低い
プラスチックメガネの中で、ウルテムのメガネの掛け心地はNo.1です。
繊細な素材のため、適当に作ると壊れやすさもNo.1になってしまいます。
ウルテムのメガネによくある不良は次の4つです。
- 素材に粘りがなく、引っ張る力に弱いので、エッジの効いたデザインのリム(レンズを囲う枠)の角が切れる
- 掛けはずしの際、テンプル(つる)に力がかかる箇所が細すぎると折れる
- テンプルと先セル(耳当てパーツ)を接合する箇所が細いと破損する
- ネジの精度が低いと、ネジ部周辺に亀裂が入る
特にトラブルが多い箇所は「ネジ部分」と「耳当て部分」です。

ウルテムのメガネは壊れやすい?

ウルテムのメガネは眼鏡業界の平均的な不良率1~2%を超えていています。不良を販売する一部店舗やブランドが平均値を大きく上げています。
ですが、ウルテム素材のメガネを避ける必要はありません。
眼鏡市場の「Free Fit」にも中国製はありますが、不良率は0.4%以下という驚異的な数値を出しています。ちゃんとしたショップで購入すれば、まったく問題ありません。

韓国製だと安心感があります。中国製だと少し心配になります。
ウルテムとTR-90の違いは?どっちがいい?

ウルテムのほうが、お顔に合わせたフィッティングがしやすいです。なぜなら、耳当て部分の金属芯やクリングス(鼻パッドを固定する針金パーツ)がついているからです。
軽さ・弾力性もウルテムに軍配が上がります。プラスチックフレームの中でウルテムの掛け心地は圧倒的に優れています。
総合的に見てトラブルが少ないのはTR-90です。安いのですが、不良率は低いです。
ただ、クリングスの破損に関しては、ウルテムのほうが丈夫です。ウルテムは硬いので、クリングスを固定する力が強いです。TR-90のクリングスのほうがグラついたり、抜けたりしやすいです。
軽さ | バネ性 | 耐久性 | |
TR90 | |||
ウルテム |
まとめ

今回は、ウルテム素材のメガネについてデメリットを中心に解説しました。
紹介したデメリットは、ウルテムに共通する欠点ではありません。決してウルテムのメガネがダメなわけではありません。
品質管理をしていないメガネ屋さんからは購入しないほうがいい、ということです。
信頼できるメガネ屋さんのウルテムのメガネにはデメリットはほぼありません。