メガネのレンズはなるべく薄く仕上げたいもの。
とはいえ、レンズを薄くするための追加料金は高いので、薄型レンズにするのをためらってしまうことがあります。
Zoffの場合、薄型オプションの価格は次のようになります。
薄型 | 超薄型 | 最薄 |
+5,500円 | +7,700円 | +13,200円 |
一方、JINSは度数の強弱を問わず、どんなレンズを選んでも追加料金0円です。Zoffで13,200円する最薄レンズもJINSなら無料です。
ですが、レンズを薄くしてもお金がかからないなら、とりあえず一番薄いレンズをつけようとするのはオススメできません。なぜなら薄いレンズにはデメリットがあるからです。
JINSのスタッフが薄くないレンズをすすめてくる場合、薄型レンズを嫌がっているわけではありません。お客さんにとって最良のレンズを提案しているだけです。
今回は、JINSが薄型レンズを嫌がるという評判を深堀していきます。あわせて、薄型レンズのメリットデメリットを解説します。
レンズは薄ければ薄いほど良いの?
レンズは薄ければ薄いほど良いわけではありません。薄いレンズにはデメリットがあります。
まずはレンズについてかんたんに解説します。
どのメガネ屋さんも、薄型・超薄型・最薄の3つレンズを取り扱っています。
それぞれのレンズのちがいは薄さだけではありません。軽さ・色にじみ・透明度・耐久性にちがいがあります。
それぞれのレンズは次のような特徴があります。
薄さ | 軽さ | 色にじみ | 透明度 | 割れにくさ | |
薄型 (1.60) | |||||
超薄型 (1.67) | |||||
最薄 (1.74) |
「最薄レンズがいちばん軽いのでは?」と疑問に思う方もいるかと思いますが、ここでいう軽さは比重のことです。
レンズの3大要素である屈折率(薄さ)・比重(軽さ)・アッベ数(色にじみ)について解説していきます。
屈折率(薄さ)
光を曲げるチカラを屈折率といい、屈折率が高いほどレンズを薄くすることができます。
屈折率1.60 | 屈折率1.67 | 屈折率1.74 | |
レンズの薄さ | 薄い | 超薄い | 最も薄い |
近視用のレンズは度数が上がるほど、レンズのフチが厚くなります。強い度数の場合でも屈折率が高いレンズは厚みをおさえることがきます。
ガラスレンズについて
レンズの厚みをいちばん薄くできるのは、屈折率1.9のガラスレンズです。
残念ながら、JINSではガラスレンズの取り扱いがありません。
ガラスレンズのメリットとデメリットは次のようになります。
比重(軽さ)
水の重さを基準の1として、水の何倍重いのかを示した数字を比重といいます。
屈折率が高くなるほど比重が大きくなります。
比重(重さ) | |
薄型 (1.60) | 1.30 |
超薄型 (1.67) | 1.35 |
最薄 (1.74) | 1.46 |
度数が弱い場合、薄型と最薄のレンズの厚みがほとんど変わらないことがあります。このため、度数が弱いのに、最薄レンズを選ぶと、薄さのメリットよりも重さのデメリットのほうが大きくなることがあります。
色にじみ(アッベ数)
4倍以上の倍率の虫眼鏡で、白い紙の黒い文字を見てください。文字が黒く見えるのはレンズの中心だけで、端っこの文字は黄色っぽくにじんでいませんか。
このような色ズレの度合いをあらわす数字をアッベ数といい、アッベ数が大きいほど色ズレのすくない良いレンズとなります。
色にじみ(アッベ数) | |
薄型 (1.60) | 42 |
超薄型 (1.67) | 32 |
最薄 (1.74) | 32 |
アッベ数が大きいほど、にじみのないクリアなレンズです。
屈折率1.60の薄型レンズがいちばん見やすいです。
人間の場合、アッベ数が40以上あればレンズの色ズレはわからないと言われています。
JINSが薄くないレンズをすすめてくる理由は?
JINSが薄型レンズを嫌がるということはありません。
ここでは、次の2つについて徹底解説します。
- JINSが薄型レンズを嫌がらない理由
- 「JINSが薄型レンズを嫌がる」と思われてしまう原因
JINSが薄型レンズを嫌がらない理由
屈折率の高い薄いレンズほど値段が高いので、儲けのことを考えれば、最薄レンズを無料では売りたくないのは事実でしょう。
実際、薄型オプション無料の料金体系を採用する、経営不振のメガネ屋さんの中には、度数の強くないお客さんに最薄レンズを販売すると上司からの業績評価がマイナスになるショップもあります。
こういうメガネ屋さんのスタッフは薄型レンズを嫌がりますが、JINSは薄型レンズを嫌がらないと思います。
最薄レンズが必要なお客さんは全体の1割ほどです。JINSくらいの規模になれば、気にならないレベルです。
お客さん全員が最薄レンズを選べば、商売が成り立ちませんが、最薄レンズのお客さんが1割程度いる前提で価格設定をしているので、お客さんを説き伏せて原価の安いレンズを売ってやろうなんていう発想はJINSにはありません。
JINSが薄くないレンズをすすめてくる理由
薄型レンズにはデメリットがあるので必要でなければ、オプションで追加しなくても問題ありません。
視力0.1以上(度数でいうと-4.00Dを超えない場合)であれば、屈折率1.60の薄型レンズが最適です。
度数が強くない場合、薄型レンズが最適な理由は次の2つ。
- 薄型と超薄型レンズの厚みの差は気にならない
- 薄型のアッベ数は42と高く、にじみがなく鮮明に見える
度数が強くない場合はレンズが厚くならないので、屈折率の高いレンズのメリットは少なく、薄型レンズのアッベ数42に対し、超薄型レンズのアッベ数32の色にじみの差は、敏感な人なら感じ取れてしまいます。
一方、視力0.05とか0.03とか(度数でいうと-8.00Dから-10.00D)、視力検査表のいちばん上の記号が見えない方の場合、アッベ数を犠牲にしても超薄型や最薄レンズを選択する意味があります。
薄くて軽く仕上がり、メリットがデメリットを上回ることが確実だからです。
また、フレームの種類によっては、超薄型や最薄レンズよりも、薄型レンズをすすめることがあります。薄型の素材は割れにくいという強みがあるからです。
下の画像のようなレンズに穴をあけて直接ネジで留めるタイプのフレームやレンズのふちに溝を掘りナイロンの糸を張るタイプのフレームの場合、最薄レンズは割れやすいのでオススメできません。
逆に中度近視の方に超薄型や最薄レンズをすすめるケース
強度ではなく中度近視のお客さんに超薄型レンズをすすめることがあります。
気に入ったデザインのフレームを選びたいときの障害を解決するためです。近視用のレンズは凹レンズ。
凹レンズは外側が厚くなるため、大きいフレームを選ぶとレンズの厚みが目立ちます。
「厚みは気になるけれどデザインは絶対これ!」という場合、超薄型や最薄レンズの出番です。
「JINSが薄型レンズを嫌がる」と思われる原因
JINSが薄型レンズを嫌がるという評判があることは事実です。
「JINSが薄型レンズを嫌がる」と思われてしまう原因は2つあります。
- JINSのスタッフが薄型レンズのデメリットを強調して説明している
- 競合店のZoffが薄型レンズのメリットを強調して説明している
JINSの薄型レンズの説明
お客さんが薄型レンズを希望しているのに、JINSのスタッフは「薄型レンズにはデメリットがあるからやめたほうがいい」とアドバイスしてくることがあります。
これは、JINSにかぎらず他のメガネ屋さんでも同じような提案をします。お客さんとって最良のレンズをつかってメガネを作製したいというプロ意識から、あえて薄いレンズをすすめないことがあるのです。
ですが、JINSのスタッフのレンズの説明にはどこかひっかかるものがあります。
JINSのスタッフは薄型レンズの重さや色にじみのデメリットを強調するので、お客さんは「あれ?なんか嫌がってる?」と疑ってしまうのだと思います。
中には、「屈折率1.74の最薄レンズは黄ばんでいる」と説明するスタッフもいるようです。たしかに、屈折率1.60の薄型レンズに比べて透明度は劣りますが、「黄ばんでいる」は言いすぎです。もしかすると、色にじみの話をしていたのかもしれません。
繰り返しになりますが、屈折率が高いレンズはアッベ数が低く、にじみが強くなります。
Zoffの薄型レンズの説明
Zoffは薄型レンズオプションが別料金のため、お客さんに薄型レンズを積極的にすすめてくる傾向があります。
度数が強くない人に対しても、「最薄レンズにしたら0.5mm薄くなる」というような説明をするスタッフもいます。
基本的に、Zoffは屈折率の高いレンズはデメリットよりも「薄い」というメリットのほうが大きいという考えのようです。
ちなみに、レンズメーカーもZoffと同じような考え方(宣伝)をします。
まとめ
今回は、「JINSが薄型レンズを嫌がる」という評判について解説しました。
JINSは薄型レンズを嫌がっているわけではありません。お客さんにとって最良のレンズを提案しているだけです。(JINSのスタッフの説明は気になる部分もありますが….)
レンズは薄ければ薄いほど良いというものではありません。屈折率の高いレンズにはデメリットがあります。
「追加料金なしだったら、とりあえず一番薄いレンズのほうがお得」と安易にレンズを選ぶと、結果的に損をしてしまうことがあります。
とくに度数が弱い場合、
- 厚みに差がなく
- 色ズレがあり
- もろくて割れやすい
などのデメリットしかないことがあります。
JINSの販売員のアドバイスは素直に受け止めてくださいね。不信感を抱くような説明だった場合、別のメガネ屋さんに行って相談してみるのもいいかもしれません。
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