
JINSやZoffのような格安店の登場により、メガネは一式5,000円ほどで作れる時代になりました。
しかし、数万円もするメガネを販売するお店もまだまだ健在です。
「メガネって見た目は同じようなのに、なぜ価格がちがうの?」と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、高いメガネのメリットと安いメガネのデメリットをくわしく解説します。
見た目はどれも同じように見えるメガネですが、素材やつくりによって実はかなり差があります。日本製のチタンフレームは、価格は高いですが、それ以上のメリットを感じられます。格安店で扱われるTR-90のフレームも価格以上の良さがありますが、フィッティングができないなどのデメリットがあります。

高いメガネのメリット

価格の高いメガネといっても、その理由はいろいろ。
- 高品質なフレーム
- 有名ブランドフレーム
- 希少性の高いフレーム(1点もの・べっこう・宝石付き・金無垢など)
- 高機能のレンズ
- 手厚い保証
有名ブランドや希少性、保証の厚さはわかりやすいですが、フレームやレンズの品質は見ただけでは違いがわかりにくいと思います。

店頭に並んでいるフレームは、予備知識がなければ、全部おなじに見えてしまいます。
ここでは高品質のフレーム、なかでも日本製のチタンフレームをとりあげて、高いメガネのメリットを解説します。
そもそもチタンという金属は次のような特長があります。
- 軽い
- 強い
- さびにくい
アクセサリーや自動車・船などの部品、ゴルフクラブなどに使用されており、結構身の回りで活躍している金属です。

軽くて強くてさびにくいチタンでつくられたフレームは、かけ心地が良く丈夫です。
ただし、チタンには大きな弱点もあります。
それは、加工性の悪さ。
つまり、チタンは製品にするのがとてもむずかしい。たとえば、溶接するときは無酸素状態での作業が必要だったり、切断するときに加工する機械の方がこわれたり…。
中途半端な技術や機械で加工すると、もろい製品ができあがってしまいます。実際、むかしのチタンフレームはよく溶接部分がはずれてクレームになりました…。
この加工性の悪さを高い技術力で克服したのが日本製のチタンフレームです。
日本製のチタンフレームは「軽い・強い・さびにくい」以外にも次のようなメリットがあります。
- 弾力性の高いチタン合金によるかけ心地の良さ
- 日本の加工技術による高いデザイン性
- さらに丈夫で長持ち
チタン合金によるかけ心地の良さ
チタンは弾力性の高い金属ですが、他の素材と合わせてより弾力性を高めたのが「βチタン・エクセレンスチタン・ゴムメタル」といったチタン合金です。
これらのチタン合金をフレームのテンプル部(ツルの部分)に採用することで、ふわっとした軽さとバツグンのかけ心地を実現しました。
軽くてやわらかいフレームは耳や鼻にあたる部分の負担が少なく、痛くなりにくかったり跡がつきにくくなります。
さらに力を加えても元に戻ろうとするため、非常に変形しにくいというメリットもあります。
日本の加工技術による高いデザイン性
加工性の悪いチタンフレームは、どうしてもシンプルなデザインになりがちでした。
しかし、加工技術が進歩したことで複雑なカタチが可能になりました。「曲げ・ねじり・つなぐ」などのさまざまな表現が可能になり、デザインの自由度があがりました。
とくにテンプル(ツルの部分)がキレイにデザインされたフレームは圧巻。男性・女性用ともに個性的で目を引き、思わずかけてみたくなります。
そのほか、溶接を使わない一体成型のプレス抜き技術や剥がれにくいメッキ技術など、高い加工技術をふんだんに使用されたフレームもあります。
丈夫で長持ちする
日本製のチタンフレームはとうぜん溶接技術も高く、丈夫で長持ちします。

メガネは肌に直接触れて使うため、思っている以上に傷みやすいものです。
汗や皮脂でさびたりメッキが剥がれたり、溶接部分がはずれたりすぐにネジがゆるんだり。
日本製のチタンフレームはチタンのさびにくさに加えて、溶接やメッキなどに高い技術が使われているため、耐久性はバツグンです。
そのほかにも細部に至るまでこだわりが感じられます。
- ツルの蝶つがいの部分の摩耗を防ぐためにワッシャーが入っている
- 部品のかみ合わせがピッタリ合い、余分な負荷がかからない
キッチリした仕上がり具合は、さすが「モノづくりの国・日本」だと感じます。
安いメガネのデメリット

以前は、「メガネは高い」というイメージがあり、さらに価格がわかりにくかったのも事実です。
そこにJINSやZoffといった格安店が登場し、5000円くらいでメガネが買えるようなりました。
- ちょっと使うだけだから安くていい!
- いろいろなメガネを楽しみたい!
- 安くても、ある程度の品質のものが欲しい!
こんな希望にピッタリ当てはまったのが、格安店で多く使われるTR-90という素材のフレームです。
TR-90はポリアミド系樹脂で、もともとはスイスで医療用に開発されました。
医療用に開発されただけあって安全性が高く、軽量で適度に弾力性があり、さらには熱にも強くて変質しにくいという、安価のわりに結構優秀な素材です。

軽くて弾力があって変質しにくく、メガネフレームに最適です。
しかも、低価格。
そんな夢のような素材ですが、やはりデメリットがあります。
TR-90のフレームのデメリットはおもに次の3つです。
- フィッティングができない
- 安っぽく見える
- 他人とカブる
フィッティングができない
TR-90のデメリットでもっとも致命的なのがフィッティングができないこと。
フィッティングはメガネのかけ具合いをしっかり合わせる作業です。
フィッティングがうまく合っていないと、耳が痛くなったりメガネがズレて正しく見えなかったりします。
たしかに適度な弾力があり、さらに最初から適度なカーブをつけてかけ具合いを良くする工夫がされているフレームもあります。
「日本人の顔に合うようにつくられている」という触れ込みのフレームも、フレーム設計だけでは顔にピッタリ合いません。当たり前ですが、人の顔は千差万別です。
耳にかかる部分にだけ金属芯を入れて調整できるフレームもあります。これも細かく曲げられるわけではないので完全に合わせることは不可能です。

何回調整してもピッタリ合うことはありません。ちょっとズレていると、靴の中に小石が入ったような感じで不快になります。
短時間だけ使うのならいいのですが、長時間かけるメガネや遠近両用メガネなどには不向きと言わざるをえません。
安っぽく見える
TR-90のフレームは、ひと目見ただけでわかります。
それだけ質感は安っぽいです。
もちろん、見た目を気にしなければ問題ありません。

メガネは顔の真ん中にかけてその人の印象を左右するもの。メインで使うメガネとしてはちょっと物足りないと思います。
学生や若い人ならまだしも、会社や組織でそれなりの地位についている人や素敵な年齢の重ね方をした大人が掛けていると違和感があるかもしれません。
他人とカブる
TR-90は素材の安さ以外にも、大量生産することでコストをおさえています。
つまり、同じ商品が大量に販売されているということ。
そもそもフレームは手作業でつくられる部分も多く、レイバンやオークリーといった人気ブランドの定番商品以外では他人とカブることは非常にまれです。
しかし、人気の色やカタチはだいたい決まっているので、同じ時期に同じ格安店で購入するとカブることがあります。
同じ格安店で購入していなくても、カブることがあります。TR-90のメガネを作る工場は中国内陸部にあります。コンプライアンスや権利関係の意識が低く、ある小売店から受注したメガネの型を使い回し、品番だけ変えてほかの小売店に販売することが多々あります。

大問題に発展した事例をこれまでに何度も見てきました。
他の人とカブることを気にしなければいい話ですが、身近な人とファッションがカブると、なんとなく気まずいです。
壊れるリスクがある
TR-90のフレームはほぼすべてが中国製。
大量生産でコストをおさえているため、仕上がりはどうしても粗くなります。
TR-90のフレームには次のようなデメリットがあります。
- 塗装がはがれやすい
- クリングス(鼻あてパッドの足が金属のもの)がこわれやすい
- 修理代が高くなる
気軽に買い替えられる値段なので、そこまでのデメリットではないかもしれません。
まとめ

今回は、高いメガネのメリットと安いメガネのデメリットを解説しました。
見た目はどれも同じように見えるメガネですが、素材やつくりによって実はかなり差があります。
日本製のチタンフレームは、素材の良さに加えて高い技術力で高品質を実現しています。価格は高いですが、それ以上のメリットを感じられます。
格安店で扱われるTR-90のフレームも価格以上の良さがあり、「安いメガネ=悪いメガネ」というわけではありません。しかし、フィッティングができないなどのデメリットがあるので、用途を考えて選びたいところです。